地質学雑誌
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111 巻, 3 号
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論説
  • 西田 和浩, 今岡 照喜, 飯泉 滋
    2005 年 111 巻 3 号 p. 123-140
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/07/01
    ジャーナル フリー
    山陰中央部の出雲市南方から米子市南方にかけての東西約60 km,南北約40 kmの範囲にまとまって分布する白亜紀~古第三紀貫入岩類からなる複成バソリスを構成する貫入岩およびそれに随伴する火山岩のRb-Srアイソクロン年代を系統的に求めた.このバソリスは75 Ma前後から50 Maまでの約2500万年間のマグマ活動によって大枠が形成され,その後古第三紀後期の小規模なストックの貫入により完成した.山陰帯における白亜紀~古第三紀火成活動は,今回求めた年代や既報年代,地質学的相互関係から,~78 Maの年代を示す後期白亜紀火山岩類と用瀬期貫入岩類,75-50 Maの年代を示す因美期貫入岩類と同時期の火山岩類および44-30 Maを示す田万川期火山岩類・田万川期貫入岩類に区分される.因美期貫入岩類と田万川期貫入岩類の活動の間には600万年の休止期が認められる.
  • 西脇 仁, 奥平 敬元
    2005 年 111 巻 3 号 p. 141-155
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/07/01
    ジャーナル フリー
    領家変成帯中の近畿中央部飛鳥地域に分布する苦鉄質岩は,領家古期 花崗岩類に対して層状に産している.苦鉄質岩のほとんどは,コアもリムもほぼ均一な化学組成を示す半自形~他形の斜長石と角閃石からなる.また,斜長石-角閃石温度計を用いて平衡温度を計算するとおよそ500-600℃となることから,これらの苦鉄質岩は角閃岩相の変成作用を被った変成岩であると考えられる.一部の苦鉄質岩に認められる面構造とマグマ期-亜マグマ期に形成された花崗岩類の片麻状構造が斜交関係にあることから,両者は同じ変形作用を被っておらず,苦鉄質岩の面構造は,少なくとも花崗岩類との接触以前に形成されたと判断される.これらのことから,苦鉄質岩は花崗岩質マグマの定置以前に角閃岩相の変成作用を被った後,花崗岩質マグマに捕獲されたと結論づけられる.
  • 板津 透
    2005 年 111 巻 3 号 p. 156-169
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/07/01
    ジャーナル フリー
    日本列島の洪積台地では,表層の難透気層と下位の地下水面に挟まれた地層が透気層となり,地下空気が水平方向に流動している可能性が高い.本論文では,このような透気層を深さ方向に平均化して均一な長方形の多孔質媒体で近似し,地下空気が水平2次元流動する条件において,三角関数で表された大気圧変動により引き起こされる地下空気圧変動の解析解を求めた.この解を用いた検討から,長方形内の地下空気は,概略的には最も近い境界上の点に向かって1次元流動(往復運動)とみなすことができ,圧力変動伝播経路の最大長は,長方形の短辺長の1/2となることが示された.次に,複雑な形状の透気層における地下空気圧変動を計算する方法として,有限要素法による計算法を示した.また,計算に必要なメモリーを減らすため,いくつかの長方形が接合している多角形を小さな多角形に切断し,より少ない節点数のメッシュを作成して有限要素法を適用する方法を示した.
  • 柏木 健司, 丹羽 正和, 常盤 哲也
    2005 年 111 巻 3 号 p. 170-181
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/07/01
    ジャーナル フリー
    紀伊半島中央部の秩父累帯のうち,構造的最上位を占める三之公コンプレックスは,秩父累帯全体の地質構造を議論する上で重要である.今回,時代未詳であった三之公コンプレックスにおいて,珪質泥岩からジュラ紀古世Toarcian前期と中期の,チャートからジュラ紀古世Sinemurian~Pliensbachianの放散虫化石群集を新たに得た.これまでの研究成果によると,紀伊半島中央部の秩父累帯のうち三之公コンプレックスの構造的下位に位置する6つの コンプレックスは,構造的下位に向けてジュラ紀中世から白亜紀古世中期に至る年代若化傾向を有する.三之公コンプレックスの放散虫化石年代は,構造的上位から下位への年代若化極性が,紀伊半島中央部の秩父累帯に全体として認められることを示している.
  • 関口 智寛
    2005 年 111 巻 3 号 p. 182-186
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/07/01
    ジャーナル フリー
    各谷部に1本または2本の二次波峰を持つウェーブリップルマークの形状について,二次元造波水路実験から検討した.その結果,二次波峰を持つリップルは,波が引き起こす振動流の非対称性を反映し,非対称な形状を示すことが明らかになった.二次波峰が1本の場合,二次波峰は谷部の岸側寄りに現れる.二次波峰が2本の場合には,沖傾斜斜面上の二次波峰とその岸側に位置する初期波峰との距離が,岸傾斜斜面上の二次波峰とその沖側に位置する初期波峰の距離に比べて大きく,また,前者の二次波峰は後者より高い位置に現れる.本研究の結果から,地層中の二次波峰を持つリップルから,過去の波の進行方向が推測できると考えられる.
短報
  • 栗原 敏之, 佐藤 義孝, 田沢 純一
    2005 年 111 巻 3 号 p. 187-190
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/07/01
    ジャーナル フリー
    The following four species of Early Devonian radiolarians have been discovered from felsic tuff of the lower part of the Ohno Formation in the Hikoroichi area of the South Kitakami Belt, Northeast Japan: Protoholoeciscus hindea Aitchison, Protoholoeciscus triangularis (Wakamatsu, Sugiyama and Furutani) , Glanta sp. cf. G. fragilis Wakamatsu, Sugiyama and Furutani, and Tlecerina horrida Furutani. The radiolarian fauna is correlated with the Tlecerina-Glanta Assemblage recognized in the Devonian of the Kurosegawa Belt, Southwest Japan. This fauna is no older than Lochkovian or Pragian and is no younger than Emsian, considering comparisons to other Devonian radiolarian assemblages. This age assignment is consistent with macroinvertebrate age constraints of the Ohno Formation and the stratigraphic relationship to the overlying Eifelian Nakazato Formation. Based on the occurrence of these radiolarians, the Ohno Formation can be correlated with the Nakahata Formation of the Kurosegawa Belt.
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