地質学雑誌
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論説
西日本,関門層群(白亜紀前期)の変質作用
歌田 実澤田 臣啓
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2005 年 111 巻 4 号 p. 206-216

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抄録
白亜紀前期の関門層群は本州西部から北九州の日本海沿いに分布している.関門層群は全層,非海成堆積物で砕屑岩,火山岩,火山砕屑岩などを含み,貫入岩体に貫入されている.関門層群中の変質作用は広域,ホルンフェルシック,熱水,および風化に分けられる.その中で,広域変質は石英―曹長石化斜長石―緑泥石―(イライト)―(鉄鉱物)の組み合わせで特徴付けられる.この組み合わせは全ての種類の岩石,全ての層準に広く出現するが,変質鉱物は続成過程で順次生成していった証拠を欠いている.ホルンフェルシック変質は広域変質の組み合わせに,角閃石,黒雲母かコーディエライトが加わっている.熱水変質は局所的に出現している.粘土鉱物,炭酸塩鉱物,ゼオライトなど,変質鉱物は後期に形成された裂か,フラクチャー,断層などに沿って上昇した熱水から生成したのであろう.風化変質はむしろ稀であり,他の変質帯,特に熱水変質帯に重複している.
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© 2005 日本地質学会
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