地質学雑誌
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論説
日本海拡大時の東北日本弧と西南日本弧の境界
高橋 雅紀
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2006 年 112 巻 1 号 p. 14-32

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抄録

関東地方に分布する中新統の地理的および年代層序学的分布を総括し,現在の利根川を挟んで岩相,層厚,地質構造,堆積様式,構造方向等に顕著な不連続を認めた.この地質学的不連続は,西は赤城山の南麓下から伊勢崎と太田および館林の間を通り,さらに利根川に沿って柏付近から東方へ成田と竜ヶ崎の間に延び,さらに多古の北東付近で南東に向きを変え,銚子の南の片貝海底谷へと延びる伏在断層である.この断層を挟んで東北日本弧と西南日本弧が大きく斜交しつつ接しており,その起源は前期中新世の日本海拡大時期に形成されたものと考えられる.断層に沿って相対的に東北日本弧が海溝側(東側)に数10 km以上ずれており,また断層の西半部では落差の大きい南落ちの断層として,平野側に厚い海成層を堆積させている.この断層をもって,従来の利根川構造線を再定義した.

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© 2006 日本地質学会
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