地質学雑誌
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論説
関東平野西縁の反射法地震探査記録の地質学的解釈
-とくに吉見変成岩の露出と利根川構造線の西方延長-
高橋 雅紀林 広樹笠原 敬司木村 尚紀
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2006 年 112 巻 1 号 p. 33-52

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抄録

関東地方の中新統の地質,層序,岩相,層厚変化,堆積様式,変形等に基づく層序・構造モデルを構築し,その視点に立脚して関東平野西部の反射法地震探査断面(朝霞-鴻巣-邑楽測線)の地質学的解釈を試みた.関東地方の中新統~鮮新統は庭谷不整合を境に“N.8期堆積層”(16.5~15 Ma)と“post N.8期堆積層”(15 Ma~)の堆積ユニットに大別される.前者はハーフグラーベン埋積堆積物の有無により層厚が側方に変化し,基盤の起伏の主要な要因となっている.一方,後者は下位層をほぼ一様に被覆するが,利根川中流低地帯の地下では海退に伴うデルタ堆積物が厚く伏在する.関東平野の基盤構造は,中新世(N.8期末)に形成されたハーフグラーベンにより非対称な起伏が形成されている.吉見丘陵に先中新統基盤岩類(吉見変成岩類)が露出しているのは,日本海拡大時に吉見地域がハーフグラーベンを形成した傾動ブロックの非沈降部に位置していたためであると考えられる.

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© 2006 日本地質学会
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