地質学雑誌
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論説
関東平野東端の太平洋岸に分布する銚子層群・那珂湊層群・大洗層の地質学的位置づけ
安藤 寿男
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2006 年 112 巻 1 号 p. 84-97

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抄録

関東平野東端には下部白亜系銚子層群,最上部白亜系那珂湊層群,古第三系大洗層が孤立して分布し,東北日本,西南日本の地帯構造を考える上で重要な情報をもたらす.3つの地層群の研究の現状をまとめた上で,それらの地質学的意義を考察した.東北日本の蝦夷堆積盆の北上および常磐亜堆積盆における上部アプチアン以上の白亜系~古第三系には,時代・層序・堆積相の上で3地層群に比較可能な地層は見られない.銚子層群は層序分布から関東山地北部の西南日本外帯秩父帯の山中白亜系の東方延長と見なされる.那珂湊層群は西南日本内帯南縁の和泉層群との共通性が高い.大洗層は礫の放射年代,植物化石などから白亜系ではなく古第三系の可能性が高い.那珂湊層群と大洗層は棚倉構造線の南方延長の破砕帯に含まれた古期岩類の断層隆起地塊をなしており,西南日本の要素と見なされる.大洗層は,関東山地北部の寄居層および神農原層とに対比できる可能性がある.

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© 2006 日本地質学会
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