地質学雑誌
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特集 日高衝突帯研究の最近の進歩 (1) -その深部過程と上昇過程
日高変成帯,最下部トーナル岩マグマの冷却プロセス
志村 俊昭小山内 康人豊島 剛志大和田 正明小松 正幸
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2006 年 112 巻 11 号 p. 654-665

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抄録
日高変成帯は,第三紀の火成弧の地殻断面であると見なされている.シンテクトニックなトーナル岩マグマは地殻規模のデュープレックス構造のフロアースラスト,ランプ,ルーフスラストに沿って迸入している.このトーナル岩マグマは露出していない最下部地殻のアナテクシスによって生じた.
日高変成帯北部の新冠川地域には,含輝石トーナル岩類(最下部トーナル岩体)が分布している.このトーナル岩体には,斜方輝石の仮像や,アプライト脈などの様々な冷却過程を示す証拠を見ることが出来る.これらの組織から,このトーナル岩体の冷却過程が明らかになった.シンテクトニックなトーナル岩体と,変成岩層のP-T-t経路は地殻の上昇テクトニクスを示している.一方,デラミネーションを起こした最下部地殻のP-T-t経路も推定することが可能である.
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© 2006 日本地質学会
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