地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
Print ISSN : 0016-7630
ISSN-L : 0016-7630
論説
石川県南部地域の第三紀流紋岩(医王山累層)中に産する暗色珪質脈の岩石学的特徴
森下 知晃荒井 章司脇元 理恵水田 敏夫石山 大三佐藤 比奈子梅香 賢藤沢 亜希子盛一 慎吾大世古 光弘森 尚仁山崎 まゆ山本 真也
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 112 巻 4 号 p. 273-283

詳細
抄録
石川県南部地域に分布する医王山累層流紋岩中の暗色を呈する脈状岩石(暗色珪質脈)の記載岩石学的特徴・地球化学的特徴を明らかにした.暗色珪質脈は流紋岩の破砕帯に沿って, ネットワーク状, ブレッチャー状に産し, 主に数μm程度の石英と流紋岩起源の破砕片によって構成されている.暗色珪質脈はSiO2含有量が高く, コンドライト値で規格化した希土類元素のパターンはNdよりも重い元素で暗色珪質脈と流紋岩のパターンは一致し, La, Ceは暗色珪質脈の方が富む.本岩石は, 流紋岩の破砕による破砕片の移動とその部分の付加型珪質化作用によって形成されたものであると考えられる.また, 変質鉱物の組み合わせにより, 破砕に伴う暗色珪質脈形成の後に, 100℃以下の低温変質作用を露頭全体が被ったといえる.
著者関連情報
© 2006 日本地質学会
前の記事 次の記事
feedback
Top