地質学雑誌
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総説
組成データ解析における0値および欠損値の扱いについて
新井 宏嘉太田 亨
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2006 年 112 巻 7 号 p. 439-451

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抄録
変数の総和が一定となる組成データには定数和制約と呼ばれる数学的制約が存在し,通常の手法を用いたデータ解析を行うことができない.この問題を回避するための方法として,対数比変換を行いデータを実空間に写像する対数比解析法と,単体空間に留まって解析する単体解析法が考案されている.しかしいずれの方法においても,組成データに0値や欠損値が含まれると,数学的な問題から解析を実行できないという問題がある.このため,これまでにいくつかの0値および欠損値置換法が考案されてきた.本論では,組成データにおける0値の種類を明確にした上で,これらの0値置換方法と,その長所および短所について詳しく言及した.また,0値置換の問題点にも触れ,外れ値の検定法についても解説した.また,代表的な0値置換法と,外れ値を検定するための不適合度を計算するためのフリー統計環境R用プログラムを作成した.
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© 2006 日本地質学会
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