抄録
宮城県登米町皮袋に分布する三畳系稲井層群平磯層の基底部は赤色砂質泥岩を含む,礫岩・砂岩などの砕屑岩から構成される.これは下部では礫岩相が卓越し,上部では砂岩と赤色砂質泥岩からなる複数の上方細粒化サクセッションから構成され,赤色砂質泥岩には干裂痕や炭酸塩ノジュールが認められる.堆積相の検討の結果,これらの堆積物は河川環境や潮汐の影響を受ける河川環境で堆積したと考えられる.また,鏡下の観察から赤色砂質泥岩は凝灰質な堆積物を起源とすることがわかる.砂岩と赤色砂質泥岩の境界は明瞭であり,砂質泥岩の赤色化は堆積後ではなく,後背地において既に進行していたと考えられる.同時に赤色泥質岩中の生物擾乱構造や炭酸塩ノジュールの存在は,乾燥した気候下での土壌化の進行を示唆する.