地質学雑誌
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論説
岐阜県東濃地方に分布する瑞浪層群土岐夾炭層の凝灰質砂岩のフィッション・トラック年代
笹尾 英嗣岩野 英樹檀原 徹
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2006 年 112 巻 7 号 p. 459-468

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抄録
岐阜県南東部に分布する中新統瑞浪層群土岐夾炭層について,本層中部の凝灰質砂岩のフィッション・トラック年代測定と記載岩石学的性質に基づいて,その堆積年代を検討した.
凝灰質砂岩および土岐花崗岩中の斜長石の屈折率分布から,凝灰質砂岩は安山岩質の火山灰と花崗岩起源の砕屑物の混在物であることが明らかになった.また,凝灰質砂岩中のジルコンの粒子年代分布を統計的に解析し,同一年代と見なされる粒子集団を分類した結果,17~21 Maおよび56~67 MaのFT年代が識別された.古い方の年代は土岐花崗岩のFT年代(59~61 Ma)と一致しており,基盤から供給されたジルコンの年代を示し,若い方の年代は安山岩質火山灰の形成年代,すなわち瑞浪層群土岐夾炭層中部の堆積年代を示す.これまでに報告された本層上部のFT年代(約18 Ma)を考慮すると,基底礫岩を除く土岐夾炭層は約18~20 Maに堆積したと推定される.
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© 2006 日本地質学会
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