抄録
長野県北部北信地方の新第三系の代表的なセクションにおいて放散虫化石による年代分析を試みた.青木層,小川層,柵層のうち,柵層中の荒倉山火砕岩部層と荻久保砂岩泥岩部層からは放散虫が産出したが,その他の地層からは産出しなかった.荒倉山火砕岩部層からはSpongurus pylomaticus帯(5.2~4.5 Ma)を示す放散虫群集が得られ,荻久保砂岩泥岩部層からはS. pylomaticus帯~Cycladophora sakaii帯(5.2~2.6 Ma)に当たる鮮新世に特徴的な放散虫が産出した.これらの推定年代は,従来報告されている放射年代と調和的である.