地質学雑誌
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論説
土壌構成鉱物の化学風化,溶解速度と元素移動度-神奈川県秦野市黒ぼく土の例-
鹿園 直建瀧野 昌嗣大谷 晴啓
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2007 年 113 巻 12 号 p. 593-610

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抄録
神奈川県秦野市の黒ぼく土の化学風化,元素移動,溶解速度に関する研究を行った.主成分元素のAl規格値は,Na<Ca<K<Mg<P<Si<Ti<=Fe<Al<Mnであった.Na,Ca,Mgの移動は,長石とカンラン石の溶解によると思われる.Si,Fe,Alの移動度がこれらより小さいのは,アロフェン,ハロイサイト,Fe化合物として沈殿するからであろう.
溶解カイネティックス-流動カップリングモデルをもとに,土壌水中のH4SiO4濃度とNa·Ca-長石の量の深さに対する変化を求めた.その結果,kA/M(k: Na·Ca-長石の溶解速度定数, A: 表面積, M: 流体の質量)が10-10.3±0.5と推定された.粒子サイズから求められたA/Mを30とすると,k=10-12.0±0.5となり,これは実験値(10-10~10-11)とほぼ一致する.
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© 2007 日本地質学会
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