2007 年 113 巻 3 号 p. 83-94
九州西部,五木北部地域の黒瀬川帯に分布する整然相砕屑岩類において,上部三畳系の上位を覆う下部ジュラ系が見出された.研究地域の上部三畳系は二枚貝化石によりCarnian階とされており,坂本地域の松求麻層に対比される.三畳系の上位を覆うジュラ系は,放散虫化石に基づくとHettangian階を含む可能性が高い.本研究ではこの下部ジュラ系を平沢津谷層と命名した.平沢津谷層は下部の粗粒砂岩厚層を主とする部分と上部の黒色泥岩を主とする部分から構成される.松求麻層と平沢津谷層の境界には上部三畳系Norian階およびRhaetian階の欠如が認められ,また境界を介して上下の地層の姿勢には差がないことから,三畳系-ジュラ系境界の関係は平行不整合と判断される.