抄録
ポロシリオフィオライトの変玄武岩および変成シート状岩脈群はN-MORBに酷似しており,島弧玄武岩や背弧海盆玄武岩とは明瞭に異なった組成的特徴を示す.著しく分化した岩石が出現し組成範囲が広い特徴や,ガブロの構造などから,本オフィオライトは高速拡大海嶺で形成されたと推定される.東太平洋海膨(EPR)における不適合元素比と拡大速度の関係との比較や,地質学的特徴から,本オフィオライトは,海溝近傍の陸源砕屑物が供給されるような場にあった超高速拡大海嶺で形成されたと考えられる.後期貫入ドレライト岩脈群は,N-MORBに類似した組成的特徴を有しているが,N-MORBと比較して重希土類元素にわずかに枯渇し軽希土類元素にやや富んでいる.これらはやや肥沃なマントルソースに由来している.