抄録
パキスタン北部地震,ジャワ島中部地震,レイテ島地すべり等の大規模地質災害について,光学系高分解能衛星画像により被害状況と地形的な特性把握を試みた.また,高分解能衛星画像の災害判読特性を判読カードに整理しカタログ化を進め比較検証した.2.5 m分解能の衛星画像で斜面崩壊の判読は可能だが,小規模な表層崩壊や亀裂などの判読は1 m以上の分解能が必要であった.建物被害等の判読には1 m分解能が必要である.しかしながら単画像では実体視ができないため,1 m分解能でも単画像では都市部での網羅的な建物被害のマッピングは困難である.断層変位地形の判読については,1 m分解能でも単画像では高低感が捉えられないため困難である.ただし,建物被害集中域が判読できたので,2.5 m分解能のステレオ画像の判読と組み合わせて,地表地震断層の可能性のある地形を抽出できた.各衛星画像を比較した結果,高分解能の方が判読特性は一般的には優れているが,災害判読における実体視判読の有用性も示すことができた.本研究の考察を通して,高分解能光学衛星画像を使用した大規模地質災害の状況把握手法を提案した.