地質学雑誌
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論説
九州東部,朝地変成岩地域の変成作用とナップ運動の時期
藤井 正博早坂 康隆堀江 憲路
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2008 年 114 巻 3 号 p. 127-140

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抄録

九州東部野津原地域の基盤岩類は,高温低圧型変成岩からなる朝海ユニットの上位に,蛇紋岩からなる超苦鉄質岩ユニットを介し,非変成砕屑岩類からなる日方ユニットが重なるナップ構造で特徴づけられる.朝海ユニットの変成分帯,および黒雲母とザクロ石の化学組成から,朝海ユニットの変成作用は,荷尾杵花崗岩の貫入による接触変成作用であることが明らかとなった.その変成条件は荷尾杵花崗岩近傍で約610℃,2 kbarと見積もられる.また,荷尾杵花崗岩のジルコンのSHRIMP U-Pb年代は134.7±2.8 Ma(2σ)を示す.日方ユニットは朝海ユニットにおける荷尾杵花崗岩の接触変成作用による熱構造を切っていること,また,上部白亜系大野川層群に不整合に覆われることから,ナップ運動は荷尾杵花崗岩の貫入(約135 Ma)以降,大野川層群の堆積開始前(セノマニアン: 約100 Ma)の期間に生じたと考えられる.

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© 2008 日本地質学会
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