抄録
本論では,初期圧密段階での半遠洋性粘土の微細組織の進展について論じた.研究に用いた試料は,沖縄トラフ底の表層から採取された均質な半遠洋性粘土からなる長さ約30 cmのコアである.コア試料中の間隙比,剪断強度,帯磁率異方性が測定され,構成粒子の構造が解析された.間隙比は,埋没深度約5 cmまでで,約6-4から4-2まで減少し,剪断強度は,埋没深度約10 cmまでで,ほぼ0kPaから約6 kPaに増加した.帯磁率異方性パラメータは,コア試料を通してほぼ一定で,圧密による劇的な磁性鉱物の粒子再配列はないことを示す.埋没深度による試料の微細組織は,団粒とそれらを接続する粒子からなる接続体によって説明できる.表層6 cmまでで,接続体を構成する粒子は,端-端や面-端で接続されているが,埋没とともに面-端か面-面接続に変化する.圧密に起因する間隙比の減少や剪断強度の増加は,接続体を構成する細粒粒子の接続変化によるものである.