2008 年 114 巻 4 号 p. 163-169
地質学は,初等中等教育にあるいは社会教育に,どんな貢献をするべきなのか,あるいは貢献できるのかを考察するために,地学教育の歴史を調べてみた.まず地学の最初の学習指導要領を概観した.そこには「地文学」の影響が大きく見られると思う.現在は「地文学」など言葉すら消滅しているので,どんなものであったかを明治期の中等教育の教科書で探ってみた.「身のまわりの地学現象から出発して,その疑問を解いていく中で,地学に親しんでいく」という「地文学」の精神は今こそ地学教育に必要ではないかと提案する.