地質学雑誌
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論説
南部北上山地上八瀬地域の中部ペルム系細尾層から産出したフズリナ化石とその意義
椎野 勇太鈴木 雄太郎小林 文夫
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2008 年 114 巻 4 号 p. 200-205

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抄録

南部北上山地宮城県気仙沼市上八瀬地域の中部ペルム系細尾層中の石灰質基質支持礫岩から,新たにSumatrina cf. annae, Pseudodoliolina pseudolepida, Chusenella sinensisおよびその他の有孔虫類を含むフズリナ化石群を発見した.この群集には,テチス域標準年代区分の後期MurgabianからMidianを示すS. cf. annaeが含まれる一方で,前・中期Murgabianの指標となる原始的なNeoschwagerinaAfghanella,および中・後期Midianを指示する進化型のLepidolinaYabeinaが共産しない.このことは,この石灰質礫岩層が前期Midian(ペルム系標準年代層序区分の上部Wordian階)に対比されることを示唆する.この解釈は先行研究によるアンモノイド化石を用いた細尾層の年代論とも整合的である.

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© 2008 日本地質学会
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