地質学雑誌
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論説
四国西部における北部秩父帯の大規模逆転構造
辻 智大榊原 正幸
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2008 年 115 巻 1 号 p. 1-16

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抄録
愛媛県久万高原町地芳地域における北部秩父帯は,構成岩石および地質構造に基づいて,北から泥質混在岩からなるユニットI,砂質泥質準片岩を主体とするユニットII,緑色岩-石灰岩体を主体とし,泥質混在岩および陸源性砕屑岩の整然層を伴うユニットIIIに区分され,構造的下位からユニットIII,II,Iの順で累重する.本研究では,粒度測定を用いた級化構造の記載法を提案し,それによって,本地域における砕屑岩類および枕状溶岩63ヶ所において上下判定を行うことができた.その結果,複数の大規模なブロックごとの上下判定結果は,一方向に一致する傾向がある.また,ユニットI,IIおよびIIIの砕屑岩整然層は北傾斜,南上位を示し,南北6 kmにわたって逆転した構造を示す.一方,ユニットIIIの緑色岩-石灰岩体は北傾斜,北上位で上下正常である.この大規模逆転構造は,大規模な転倒褶曲によって説明される可能性がある.
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© 2008 日本地質学会
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