地質学雑誌
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論説
室戸岬地域における中新世の海溝近傍火成活動
溝口 秀治君波 和雄今岡 照喜亀井 淳志
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2008 年 115 巻 1 号 p. 17-30

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抄録
室戸岬地域の前期中新世四十寺山層は,日沖メランジュの上に堆積した海溝斜面堆積物と推定される.四十寺山層下部の泥岩は,枕状溶岩や火山角礫岩,火山性砂岩を挟在し,四十寺山ドレライトを含む.日沖メランジュには丸山ドレライトが貫入する.枕状玄武岩,火山角礫岩中の玄武岩質安山岩礫・ドレライト礫,丸山・四十寺山ドレライトは,非アルカリ岩系の玄武岩-安山岩に分類される.微量元素組成と単斜輝石組成を用いた判別図において,丸山ドレライトとドレライト礫はMORBに,枕状玄武岩や玄武岩質安山岩礫(椎名火山岩類),四十寺山ドレライトは島弧玄武岩に判別される.沈み込んだ四国海盆の活動的海嶺から付加体にマグマが直接供給されてドレライトの多くが形成された.椎名火山岩類の形成は,MORBマグマによる四万十泥岩の同化作用と分別結晶作用に由来する.ドレライトと椎名火山岩類は,海嶺の沈み込みに関連した海溝近傍火成活動の産物である.
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© 2008 日本地質学会
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