地質学雑誌
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論説
北海道東部,根釧原野および斜里平野における約3万5千~1万2千年前のテフラ層序と後屈斜路カルデラ火山の噴火史
長谷川 健岸本 博志中川 光弘伊藤 順一山元 孝広
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2009 年 115 巻 8 号 p. 369-390

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抄録

後屈斜路カルデラ(アトサヌプリ,中島,摩周)火山の噴火史を検討するため,最新の屈斜路カルデラ形成噴火(KpI: 35 ka)以降のテフラを対象に,道東の根釧原野と斜里平野を調査した.KpIと,最初の摩周カルデラ噴出物(12 ka)の間には,根釧原野で24層(上位からMl-a~-b, Ch-a~-d, Nu-a~-r),斜里平野で10層のテフラが堆積し,この他に薄いスコリア層等が20層以上挟在する.層位や岩相から,斜里地域の8層が根釧地域のテフラと対比できた.岩石学的手法等により,Nu-qは道央の御鉢平カルデラ起源であり,Nu-e,Nu-gなど10層がアトサヌプリ・中島火山,それ以外は全て摩周火山起源のテフラである事が分かった.35 ka以降の火砕噴火は,アトサヌプリ・中島火山で10回(16 km3)であるのに対し,摩周火山では,数千年以上の休止期を挟まずに50回以上(90 km3)頻発している.

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© 2009 日本地質学会
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