地質学雑誌
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論説
中部日本,美ヶ原高原とその周辺地域における後期鮮新世-前期更新世の火山活動史
向井 理史三宅 康幸小坂 共栄
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2009 年 115 巻 8 号 p. 400-422

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抄録

美ヶ原高原とその周辺地域には小滝山層群などを基盤岩として塩嶺火山岩類の最初期頃の火山噴出物である和田牧場火山岩類,唐沢川火山岩類,美ヶ原火山岩類,三峰火山岩類,和田峠火山岩類が分布する.この地域の塩嶺火山岩類は約2.1 Maに火山活動を開始した.その後,約1.3 Maまで玄武岩質安山岩~安山岩質マグマとデイサイト~流紋岩質マグマがそれぞれ活動し,複数の火山体を形成した.
唐沢川火山岩類は停滞水域が存在する環境で,その後の火山岩類は陸上で噴出・堆積した.塩嶺火山岩類は北西-南東方向の狭長な凹地内で噴出しており,その凹地の南東延長上には引張応力場で形成された追分火山性地溝,八柱火山群が存在する.したがって,美ヶ原高原地域の火山活動はそれらと同様に北西-南東方向の構造の影響を受けて活動しており,八ヶ岳-中信高原地域に膨大な量のマグマを噴出した一大マグマ生成場に関連した構造運動が後期鮮新世~前期更新世にあった可能性がある.

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© 2009 日本地質学会
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