地質学雑誌
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論説
プレート境界地震に伴う余効すべりと岩石の粘弾性挙動
川田 祐介長濱 裕幸内田 直希松澤 暢
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2009 年 115 巻 9 号 p. 448-456

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抄録

プレート境界地震に伴う余効すべりの時間変化を岩石の粘弾性構成則に基づいて検討した.本構成則は内部状態変数を用いた非平衡熱力学から導出され,緩和弾性率(応力と歪の比)が時間のべき乗に従って減衰する構成式で表される.この時間のべき乗則は,岩石中の各内部状態が様々なスケールの緩和時間を持つときに,各内部状態の集団的なダイナミクスとして現れるものである.この構成則を用いて,岩石の定常クリープ挙動のみならず,急激な歪速度変化に対する遷移応答も表現できる.東北日本沈み込み帯のプレート境界における小繰り返し地震のモーメントから見積もられた余効すべり変化は時間のべき乗則に従う.粘弾性構成則に基づいて解釈すると,このことは,様々な規模の地震に伴って岩石が示す遷移挙動の重ねあわせが「余効すべり」として観測されているということを示唆している.

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© 2009 日本地質学会
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