地質学雑誌
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総説
プチスポット火山から期待される海洋リソスフェアの包括的理解と地質学の新展開-超モホール計画の提案-
平野 直人阿部 なつ江町田 嗣樹山本 順司
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2010 年 116 巻 1 号 p. 1-12

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抄録

太平洋プレートが沈み込む手前で活動するプチスポット火山は,プレート屈曲に起因し,各火山活動は単発に終わる特徴があり,様々な海域で活動している.つまりプレート屈曲場であればどこでも同様の火山が存在し得る.そのような沈み込む手前のプレート上のプチスポット火山体は,沈み込むプレート本体の海洋地殻や,海山等の古い火山体よりも選択的に陸側に付加されていることが容易に想像できる.プチスポット火山の検討により,このような地質学の新展開に加え,海洋リソスフェアの理解に関する新展開も期待される.プチスポット溶岩がもたらす捕獲岩や火道角礫岩は,これまで我々が手に入れることの出来なかった古い海洋プレートの断片として貴重な情報をもたらす.これら岩石に地質圧力計を適用し,近い将来行われる若いプレート上での21世紀モホール計画の成果と合わせ,四次元的に海洋プレートが理解されることが大いに期待される.

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© 2010 日本地質学会
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