石狩平野の深度50 mのSSC-1,同44 mのH16B-7,同40 mのH16B-3,同18 mのMHR-1および同28.5 mのYUB-1の5掘削井の後期更新世~完新世地質試料について14C年代測定,珪藻分析,火山灰分析を行い,層序や古環境を検討した.珪藻分析ではH16B-7とH16B-3で「大量な海水の流入」が認められ,完新世の中期にバリア(砂州)を海水が乗り越えたためと推定した.海生種の最大割合を示す層準は約6,000年前の縄文海進高頂期と考えられ,この時期には紅葉山砂丘より東に大きさ東西30 km,南北20 km程度の汽水湖が形成されたと推定される.火山灰分析ではSSC-1の深度42.38~42.25 mに約11.3万年前降灰のToyaが確認され,最終間氷期の堆積面が石狩平野下に埋積していることが示唆された.