地質学雑誌
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論説
山口県,田部盆地南部のジュラ系豊浦層群の層序の再検討
河村 博之
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2010 年 116 巻 1 号 p. 27-44

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抄録

山口県西部の田部盆地南部に分布する豊浦層群は,下位より東長野層,西中山層,歌野層,および歌野層と一部同時異相の阿内層(新称)から構成される.最近,海生動物化石を含む歌野層と植物化石を多産する阿内層とは不整合関係にあり,阿内層は豊西層群清末層の一部層とされた.しかし,歌野層と阿内層の境界を画する礫岩層は,海底で堆積した重力流堆積物であること,また,植物化石に富む阿内層下部と生物擾乱の顕著な歌野層最上部の漸移関係が認められることから,両層は一部同時異相の関係にあることが明らかになった.歌野層から阿内層に至る堆積環境は,時間・空間的に内湾のプロデルタスロープからファンデルタスロープへと推移する一連の海退期の堆積相を示すと考えられる.阿内層の年代は,年代の知られている植物群との対比,および豊浦層群の上限年代がCallovianを示すことからBathonian-Callovianと考えられる.

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© 2010 日本地質学会
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