地質学雑誌
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論説
東北日本,男鹿半島西部の後期始新世-前期中新世平行岩脈群
小林 紀彦鹿野 和彦大口 健志
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2010 年 116 巻 10 号 p. 552-562

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抄録

男鹿半島西岸では,火山岩を主とする上部始新統門前層と下部中新統野村川層の堆積期に,岩脈が多数貫入している.それらは珪質であるほど厚く,走向はN39°Eに集中する.この卓越方位は共存する正断層と平行で,当時の応力場が北西-南東方向の引張場であったことを示唆する.また,岩脈の貫入だけで地殻が約9%伸長したと考えられる.門前層形成期後期に貫入した岩脈の厚さの総計は,全岩脈の厚さの総計の2/3を占めており,その時期に岩脈の貫入による地殻の伸長は極大となった.この後,日本海開裂が急速に進むにつれて岩脈の貫入が地殻の伸長に寄与する割合は低下したと考えられる.

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© 2010 日本地質学会
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