地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
Print ISSN : 0016-7630
ISSN-L : 0016-7630
論説
南中国・四川省朝天における上部Guadalupian(中部ペルム系)の岩相層序:海水準変動と堆積場の酸化・還元条件の変遷
斎藤 誠史磯崎 行雄姚 建新紀 戦勝
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 116 巻 7 号 p. 388-399

詳細
抄録
南中国・四川省北部の朝天に露出する中-上部ペルム系浅海成石灰岩(層厚約150 m)について,詳細な岩相層序の確立と堆積環境変遷の復元を試みた.中部ペルム系茅口層上部,および上部ペルム系呉家坪層最下部は,多光帯の陸棚で堆積した生砕石灰岩を主体とする.ただし,茅口層最上部(層厚約11 m)は,少光帯以深の斜面ないし堆積盆底で堆積した黒色頁岩・含放散虫チャート互層からなる.岩相変化から,朝天セクションにおいてGuadalupian末期に海進が起こり,その後Guadalupian-Lopingian(G-L)境界を挟み,大規模な海退が起きたことが明らかになった.この激しい海水準変動に伴い,堆積場の酸化・還元条件も著しく変化した.Guadalupian末の海水準上昇は局所的な堆積盆の沈降を,一方,G-L境界を挟んでの海水準低下は地球規模の海退事件を,各々記録していると推定される.
著者関連情報
© 2010 日本地質学会
前の記事 次の記事
feedback
Top