抄録
跡津川断層は,1858(安政5)年に発生した安政飛越地震の震源断層であり,断層トレース周辺の地下では,現在も顕著な微小地震活動が観測されている.このため,跡津川断層や牛首断層などから構成される跡津川断層系は1970年代から内陸活断層の地球物理学・測地学分野のテストフィールドとなってきた.近年,GPS測地をはじめ観測データが総合的に集積してきたことから,本邦日本海側の歪集中帯における地殻地震の発生メカニズムの解明が進んでいる.
本見学旅行では,跡津川断層の中央部から東端部に至る区間について見学を行う.各見学地点において,断層破砕帯や活断層の露頭,段丘の横ずれ変位,河道閉塞,流系のオフセット等を観察し,同断層の最新活動である飛越地震の地震像や,跡津川断層の運動学・力学的な観点からの現地討論を実施する予定である.