地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
Print ISSN : 0016-7630
ISSN-L : 0016-7630
特集 モデル実験で探る地形地層形成過程のダイナミクス
ウェーブリップルの遷移過程
関口 智寛
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 117 巻 3 号 p. 141-147

詳細
抄録
ウェーブリップルは,与えられた振動流条件と堆積物特性の下で,安定的に持続する特定の形状,サイズ,波峰線オリエンテーションを有する.振動流条件が変わるとウェーブリップルはその条件下での定常状態の獲得をめざして遷移する.新たな振動流方向が初期リップルの波峰線と直交する場合,遷移過程は(1)初期リップルと定常リップルの波長の大小関係,(2)振動流の非対称性,(3)堆積物粒径に依存する.とくに,初期リップルの波長が定常リップルのそれよりも大きいと,初期リップルの形状の一部をとどめる遷移リップルが一時的に現れる.地層に見られる遷移リップルは,地層形成時の振動流条件を推測する重要な手がかりとなりうる.
著者関連情報
© 2011 日本地質学会
前の記事 次の記事
feedback
Top