開水路流れで生成するアンチデューンの形態が流砂濃度によって変わることを実験で示した.フルード数1.4のもとで,流砂濃度の高い順に,平滑床,安定して上流移動するアンチデューン,砕波を伴うアンチデューン,移動しないアンチデューン,下流移動するアンチデューン,高領域リップルといった異なる形態が存在する.流砂濃度が低いほど砕波・跳水がより頻繁に発生する.砕波が起こるとトラフが充填されて下に凸のレンズ状ラミナセットを生じる.一方,流砂濃度が高いほどアンチデューンは大きな一定の波長で安定し,トラフ通過を反映する侵食面が準平行な多重逆級化層をつくる.底面付近では流れの鉛直速度勾配が大きく,粒子の速度勾配が小さい.粒子-流体間での運動エネルギーの交換が流れの速度勾配を低下させるため,流砂濃度が高いほど,濃度勾配は小さく,速度勾配は低下する.すなわち,流砂は流れを安定化させる働きをもつ.
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