地質学雑誌
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論説
福岡県宮若市,下部白亜系関門層群中の石灰岩礫から産出したフズリナ類について
太田 泰弘阿部 哲夫黒河 雅文太田 正道
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2011 年 117 巻 5 号 p. 289-298

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抄録
福岡県宮若市尾多羅口の県道工事に伴い,下部白亜系関門層群脇野亜層群千石層および如来田層基底部の分布が確認された.如来田層基底部に広がる土石流堆積物は石灰岩礫を含み,その礫岩からは比較的保存良好なウミユリ化石およびフズリナ類を産出した.抽出したフズリナ類は,北九州市小倉周辺地域の脇野亜層群道原層および高津尾層から報告された種と同種であり,中期ペルム紀前半期(Roadian~Wordian Stage: Neoschwagerina帯)のテチス動物界(狭義)あるいは環太平洋区に生息域をもつ種群であった.このことは,石灰岩礫の供給源が,古生界秋吉帯の相田層中の中期ペルム紀前半期のテチス動物界(狭義)あるいは環太平洋区で形成された非結晶質石灰岩ブロックに求められ,脇野亜層群堆積盆およびその周辺に基盤岩類として存在していたことを示唆する.
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© 2011 日本地質学会
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