地質学雑誌
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論説
愛知県設楽地域に分布する北設亜層群(下部中新統)の古地磁気方位と本州中部における屈曲構造形成
星 博幸小川 晃一
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2012 年 118 巻 11 号 p. 748-761

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抄録
設楽地域に分布する下部中新統北設亜層群の堆積岩の残留磁化を測定し,層群最上部層の6地点について逆極性の磁化方位を決定した.これらは褶曲テストに合格し,初生の堆積残留磁化である可能性が高い.正極性へ変換後,全平均方位は東偏を示し(D = 30.1°, I = 48.3°, α95 = 3.9°),これは18〜17 Ma以降に設楽地域で時計回り回転が起こったことを示す.この回転は日本海拡大に関連した西南日本の時計回り回転を示すと考えられる.回転量は西南日本主部に比べて小さく,西南日本の回転中または回転後に設楽では西南日本主部に対して反時計回り回転が起こったと考えられる.この古地磁気方位は中央構造線(MTL)の走向に対して25°反時計回りに偏っている.この方位とMTL走向の角度関係は秩父(関東山地北部)の状況と同じであり,少なくともこれら2地域においてMTLは前期中新世後期にほぼ同一走向を有していたと判断される.
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© 2012 日本地質学会
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