地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
Print ISSN : 0016-7630
ISSN-L : 0016-7630
日本地質学会第119年学術大会 2012年 大阪 巡検案内書
中新世の室生火砕流堆積物
佐藤 隆春中条 武司和田 穣隆鈴木 桂子
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 118 巻 Supplement 号 p. S53-S69

詳細
抄録
室生火砕流堆積物は1960年代以降,大規模な珪長質火山活動の噴出物としてとらえられてきた (志井田ほか, 1960など).ここ十数年の間に,火山地質,地質構造,古地磁気方位,化学組成,構成鉱物の特徴など,多面的な研究が進められてきた.これらのデータの多くから室生火砕流堆積物は,熊野酸性火成岩類や中奥 (なかおく) 火砕岩岩脈群などと共通する特徴を示し,紀伊半島中軸部〜東部に形成されたカルデラ火山群が給源火山であることが明らかになった.室生火砕流堆積物の遠方相に対比される石仏凝灰岩層は給源カルデラ群北端から50 km以上流走したと推定される.本巡検では高温で大規模な火砕流堆積物(high-grade ignimbrite)の岩相と縁辺部における岩相を中心に観察し,大規模火砕流噴火の推移を体感してもらいたい.
著者関連情報
© 2012 日本地質学会
前の記事 次の記事
feedback
Top