地質学雑誌
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118 巻, Supplement 号
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日本地質学会第119年学術大会 2012年 大阪 巡検案内書
  • 2012 年118 巻Supplement 号 p. Sv-Sxiv
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/21
    ジャーナル フリー
  • −大地と暮らしのかかわり−
    先山 徹, 松原 典孝, 三田村 宗樹
    2012 年118 巻Supplement 号 p. S1-S20
    発行日: 2012/08/15
    公開日: 2013/02/21
    ジャーナル フリー
    2010年10月に世界ジオパークネットワークに加盟した山陰海岸ジオパークは,日本海形成と人々の暮らしをテーマにしたジオパークである.ここでは,大地の性質によって生じた豊かな自然・風土とそれを活用して生まれた地域の多様な暮らしが成り立っている.現在,山陰海岸ジオパークでは地層や岩石だけでなく,地域特有の生き物や人々の暮らしなど,大地に関わる全てのものを地域資源ととらえ,それを活用して地域づくり活動を推進している.本巡検ではそれら大地と人々の暮らしとの関わりを,実際に現地で活動をしているガイドや住民を通して紹介する.
  • 菅森 義晃, 小泉 奈緒子, 竹村 静夫
    2012 年118 巻Supplement 号 p. S21-S36
    発行日: 2012/08/15
    公開日: 2013/02/21
    ジャーナル フリー
    兵庫県南東部の川西—猪名川地域に分布する超丹波帯は,ペルム紀の地層を不整合に覆う中生界と考えられていた.しかし,近年,この地域の超丹波帯が2つの構造層序単元(国崎コンプレックスと猪名川コンプレックス)に区分されることが明らかとなり,岩相,年代および地質構造からペルム紀の付加複合体と解釈されるようになった.本巡検では,川西−猪名川地域の超丹波帯および丹波帯の主要岩相を観察し,超丹波帯を通してペルム紀の日本列島のテクトニクスについて考えたい.また,上述したように本地域の超丹波帯は中生界として認識され,その上で丹波帯の上位にあるクリッペと解釈されてきた.本巡検において,本地域のペルム紀地質体としての超丹波帯が丹波帯の構造上位にあるクリッペであることを再確認したい.
  • 宮田 隆夫, 安 鉉善, 猪川 千晶
    2012 年118 巻Supplement 号 p. S37-S52
    発行日: 2012/08/15
    公開日: 2013/02/21
    ジャーナル フリー
    中央構造線(MTL)は,白亜紀中頃からアジア大陸東縁部の形成に大きく関連して活動した大規模な横ずれ断層であり,それに沿って和泉層群堆積盆地が発達した.本巡検は,和歌山市北部から大阪府岬町にかけた地域で,横ずれ成分をもつMTL断層系の破砕帯と白亜系和泉層群のタービダイト相,堆積構造(スランプ褶曲, 底痕),変形構造(背斜, 小断層, デュプレクス),コダイアマモの化石,大阪層群/和泉層群の不整合などを見学し,それらの形成及び和泉層群堆積盆地の形成について現地討論を行う.
  • 佐藤 隆春, 中条 武司, 和田 穣隆, 鈴木 桂子
    2012 年118 巻Supplement 号 p. S53-S69
    発行日: 2012/08/15
    公開日: 2013/02/21
    ジャーナル フリー
    室生火砕流堆積物は1960年代以降,大規模な珪長質火山活動の噴出物としてとらえられてきた (志井田ほか, 1960など).ここ十数年の間に,火山地質,地質構造,古地磁気方位,化学組成,構成鉱物の特徴など,多面的な研究が進められてきた.これらのデータの多くから室生火砕流堆積物は,熊野酸性火成岩類や中奥 (なかおく) 火砕岩岩脈群などと共通する特徴を示し,紀伊半島中軸部〜東部に形成されたカルデラ火山群が給源火山であることが明らかになった.室生火砕流堆積物の遠方相に対比される石仏凝灰岩層は給源カルデラ群北端から50 km以上流走したと推定される.本巡検では高温で大規模な火砕流堆積物(high-grade ignimbrite)の岩相と縁辺部における岩相を中心に観察し,大規模火砕流噴火の推移を体感してもらいたい.
  • 里口 保文, 山川 千代美, 高橋 啓一
    2012 年118 巻Supplement 号 p. S70-S78
    発行日: 2012/08/15
    公開日: 2013/02/21
    ジャーナル フリー
    近年,第四紀が正式な地質年代区分の一つとしてその定義が国際地質学連合(IUGS)に承認された.第四紀の始まりは更新世の始まりでもあり,地層としての第四系の下限は,鮮新−更新統境界という意味でもある.鮮新−更新統境界の新定義は1980年代に決められた旧定義より下げられ,年代的には約80万年古くなった.
    本コースでは,近畿地方において旧定義と新定義における鮮新−更新統境界の両方が観察できる古琵琶湖層群において,両者を露頭観察するとともに,陸域における地層にとっての鮮新−更新統境界の意味を考える.
  • 河上 哲生, 西岡 芳晴
    2012 年118 巻Supplement 号 p. S79-S89
    発行日: 2012/08/15
    公開日: 2013/02/21
    ジャーナル フリー
    領家帯青山高原地域は,部分溶融した砂泥質変成岩中での電気石の分解と,それに伴う含ホウ素メルトの集積・移動,その結果としてミグマタイトが全岩ホウ素に枯渇する過程の研究の中心の1つになった地域である.この巡検では近年得られつつある,ジルコンやモナズ石を用いた年代測定結果をふまえ,本地域に分布する高温低圧型変成岩類のうち,主として砂泥質片岩・砂泥質ミグマタイトの産状を観察するとともに,変成岩類に密接に伴って産する花崗岩類のうち,阿保花崗岩(新期領家花崗岩)・城立トーナル岩(古期領家花崗岩)の貫入関係が分かる露頭を観察する.さらに初瀬深成複合岩体の同時性岩脈を観察する.
  • 八尾 昭
    2012 年118 巻Supplement 号 p. S90-S106
    発行日: 2012/08/15
    公開日: 2013/02/21
    ジャーナル フリー
    本巡検では,紀伊半島西部の海岸に沿って北から南へ縦断し,秩父北帯・黒瀬川帯・秩父南帯を見学する.見学地点(7地点)において,御荷鉾帯(秩父北帯の北縁部)の緑色岩類とジュラ紀中世−新世珪質岩,秩父北帯のジュラ紀古世−中世メランジュと礫岩,黒瀬川帯の弱変成岩類とそれを不整合で覆う下部白亜系,黒瀬川帯の主要構成岩類(花崗岩類, シルル系−デボン系, ペルム系など)とジュラ紀新世−白亜紀古世被覆層,秩父南帯のジュラ紀中世−新世メランジュとそれに含まれる大規模な後期古生代石灰岩岩体,および秩父南帯南端部の白亜紀古世メランジュと仏像構造線を観察する.これらの見学を通して,秩父帯の付加体形成や秩父帯と黒瀬川帯の接合などが,日本列島の基盤地質構造発達史において重要なイベントであったことをおさえていく.
  • 橋本 善孝
    2012 年118 巻Supplement 号 p. S107-S115
    発行日: 2012/08/15
    公開日: 2013/02/21
    ジャーナル フリー
    紀州白亜系四万十帯美山層では,沈み込みプレート境界における構造性メランジュの形成からマップスケールでのデュープレックス構造による底付け付加までの変形履歴が復元されている.沈み込みに伴って堆積物の変形構造や物性が変化し,メランジュブロック中にのみ発達する鉱物脈からメランジュ構造を切る剪断脈まで,流体の移動経路がそれらの変化に規制される.温度圧力履歴の推定からおよそ140 ℃/90 MPaから270 ℃/300 MPaの範囲でこれらの変形構造が形成されたことが明らかとなった.
  • 升本 眞二, 根本 達也
    2012 年118 巻Supplement 号 p. S116-S122
    発行日: 2012/08/15
    公開日: 2013/02/21
    ジャーナル フリー
    GIS(地理情報システム)はハードウェアの高度化,フリーオープンソースソフトウェア(FOSS)の普及,および基盤データの無償公開などにより身近なものとなってきた.ここではGISの基礎概念の解説とFOSSのGISを用いた実習を行う.実習では,GISの基本的な操作,地形の解析,人工衛星画像の解析,および3次元地質モデルの可視化を行う.
  • 三田村 宗樹
    2012 年118 巻Supplement 号 p. S123-S131
    発行日: 2012/08/15
    公開日: 2013/02/21
    ジャーナル フリー
    都市大阪は厚い第四紀層が分布する大阪平野に立地しており,大阪の街は,日本の第四紀堆積盆地に立地する他の大都市と同様,軟弱な沖積層がつくる低平地にあり,地盤沈下や津波による被害を被ってきた.大阪では,地盤沈下による高潮対策事業として水際に防潮堤が構築され,津波対策にも併用できるとされてきた.しかし,2011年東北地方太平洋沖地震の大規模な津波被災状況を鑑み,大阪におけるプレート境界で発生する海溝型地震に伴う津波の想定見直しもなされつつある.本コースでは,大阪市南西部の沿岸域を中心に,水際に構築される防潮堤・防潮水門の状況やそれらと地表面との関係,木津川河畔に残る津波碑に記された安政南海地震津波について紹介する.さらに,都市大阪がアジアのデルタ地帯に発達した都市としての一面として,交通機関としての「川渡し」が現在も住民の足となっており,その紹介や江戸期の新田開発地帯・地盤沈下にともなう地盤かさ上げ地帯なども訪れる.街歩きを通じて,都市域の災害履歴をどのように教材として取り扱うべきかを現地で議論したい.
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