2013 年 119 巻 11 号 p. 714-726
跡津川断層の断層ガウジから分離した石英を用いて,OSL法とUV-TL法を利用した断層年代測定を試みた.まず,300°Cでのアニール実験からOSLのFC(速成分)とTLのシグナル消失条件を検討したところ,OSLでは300°C,20秒で,UV-TL270°C領域では300°C,12~30秒で消失した.トラップ寿命(τ)の評価でも,同様な結果が得られた.LM-OSLから測定石英は速成分に卓越するF型とそうでないdim-F型に区分された.ドーズリカバリーテストからF型の線量復元能力が高いことが示され,これをOSL年代測定に用いた.80アリコットから得られた単純平均年代は0.2±0.2 kaであった.跡津川断層に起因する飛越地震の時代は1858年であり,OSL年代はこの年代と標準偏差誤差内で重なる.