抄録
日本原子力研究開発機構が岐阜県瑞浪市に建設中の瑞浪超深地層研究所では,結晶質岩花崗岩)において深地層の科学的研究を進めている.瑞浪超深地層研究所で行っている地質学的調査では,特に花崗岩中における地下水などの流体の主要な移行経路である割れ目や断層などの不連続面構造の不均質性や特性に着目して,地表地質調査,反射法弾性波探査,ボーリング調査,研究坑道における地質調査などからなる現場調査と,それらの結果に基づく地質構造のモデル化を行っている.これまでの地質学的調査により,地下水の流動を規制する低透水性の断層の特性に関する知見の蓄積や,断層の発達過程に着目したモデル化手法の整備などを進めている.本報では,地質構造に関する現場調査と,それらの結果に基づく地質構造モデルの構築に関する事例の紹介を通して,瑞浪超深地層研究所における地質学的調査について解説した.