地質学雑誌
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総説
CO2地中貯留:「地球温暖化」対策への地質学の貢献可能性
當舎 利行奥山 康子石戸 経士
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2013 年 119 巻 2 号 p. 124-138

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抄録
大気中CO2濃度の上昇が地球環境負荷と広く認識されるようになって以来,「地球温暖化」対策の速効策として「二酸化炭素分離・回収と貯留(CCS)」技術が急速に進展している.貯留方法としては,ロンドン条約96年議定書の発効以降,CO2地中貯留がほぼ唯一の選択肢となり,ここに地質学とCO2対策との接点が生まれた.いくつかのCO2地中貯留方式の中で,地質学的に貯留の可能性を示唆する構造(閉鎖構造)が必ずしも自明ではない一般(深部塩水)帯水層貯留が,わが国では最も有力視されている.2003年から2005年にかけて新潟県長岡市にて行われた岩野原圧入実証試験は,全貯留量は約1万トンであったが,陸域帯水層へのCO2地中貯留試験という点で画期的であった.2011年3月末現在10万トン規模の回収から貯留までの大規模実証試験の準備が進行中である.本稿では,世界の代表的実証試験例と産総研での基礎研究の要点,および事業化に向けた法体系の整備状況について簡単な解説を加える.
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© 2013 日本地質学会
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