地質学雑誌
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論説
島根県出雲市南方地域における中新統のK–Ar年代と古地磁気方位
沢田 順弘三代 喜弘今岡 照喜吉田 聖典稲田 理沙久井 和徳近藤 仁兵頭 政幸
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2013 年 119 巻 4 号 p. 267-284

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抄録

島根県東部における中新統の火山岩類23試料と深成岩類2試料について全岩23試料および斜長石3試料,角閃石4試料,黒雲母2試料のK–Ar年代を報告した.これまでに報告されている放射年代や生層序も含めて検討し,次のような結論を得た.(1)出雲湾入部で,これまで川合層とされていた火山岩類のうち20–19 Ma(誤差を含めると22–18 Ma)の年代を示す火山岩類を「佐田層」として区別した.(2)波多層は下部中新統ではなく最上部下部中新統~中部中新統で,川合層との間には時間的ギャップはない.波多層・川合層のK–Ar年代は17–15 Maである.古地磁気方位を測定した結果,(1)「佐田層」は約50°東偏している.(2)ほとんどの波多層の火山岩および同時期の深成岩はほぼ真北か真南の偏角をもつ.(3)16.5 Ma前後の年代を示す波多層と大東層の火山岩類は19–26°東偏している.4)これらのことから中国地方の時計回り回転運動は18 Ma以降に起こり,遅くとも16 Maには終了していたと推定される.

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© 2013 日本地質学会
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