地質学雑誌
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日本地質学会第120年学術大会(2013年・仙台)
2011年東北地方太平洋沖地震津波と869年貞観地震津波の浸水域と堆積物
菅原 大助箕浦 幸治
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2013 年 119 巻 Supplement 号 p. S1-S17

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抄録

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震による津波で大きな被害を受けた仙台平野では,この25年間に,過去の津波の地質記録「津波堆積物」に基づいて古津波イベントの調査研究が進められ,特に西暦869年の貞観津波については海岸線から数kmに渡って浸水したことが明らかにされていた.しかし,2010年までの数百年間は津波で大きな影響を受けた歴史記録は知られておらず,数十年ごとに発生してきた宮城県沖地震への対策は行われていたものの,三陸沿岸のような津波常襲地域と比べると津波に備える意識は低かったと思われ,巨大津波を念頭に置いたハード・ソフトの防災・減災対策はほとんど進んでいなかった.
本巡検では,東北沖津波により被害を受けた仙台平野沿岸部の状況と,この地域に見出されている古津波堆積物について紹介する.津波の威力,被害,侵食・堆積作用の痕跡,および被災地の復旧・復興状況を視察すると共に,地質記録から得られるハザード情報の意義と,その調査研究の方向性について議論する機会としたい.

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© 2013 日本地質学会
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