地質学雑誌
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論説
混合ビンガム分布を適用したヒールドマイクロクラックによる古応力解析:中部地方の領家花崗岩類における例
金井 拓人山路 敦高木 秀雄
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2014 年 120 巻 1 号 p. 23-35

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抄録
中央構造線(MTL)に沿って分布する領家帯花崗岩の天竜峡花崗岩と新城トーナル岩を対象に,石英粒子中に発達するヒールドマイクロクラック(HC)の三次元方向分布から,花崗岩体冷却時の応力状態を推定した.この方向分布を推定するため,ユニバーサルステージを使ってHCを測定する際の観測バイアスを補正する方法を考案した.岩体の各所でHCの方向分布を求め,得られた方向分布に混合ビンガム分布をフィッティングすることで,各試料で複数の応力状態を検出した.両岩体とも卓越する応力状態のσ3軸はMTLの走向にほぼ直交で低角度を示した.多くの試料から同じ方向のσ3軸が推定されているため,この応力状態はHC形成時(約65 Ma)の広域応力状態を示している可能性がある.σ1軸およびσ2軸の方向は両岩体,または試料により異なり,それらはより局所的な条件に依存したと考えられる.
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© 2014 日本地質学会
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