地質学雑誌
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論説
シロウリガイ類化石を含む貝殻集積砂岩層(下部更新統上総層群野島層)
宇都宮 正志長浜 千展ジェンキンズ ロバート野崎 篤間嶋 隆一
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2014 年 120 巻 7 号 p. 221-231

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抄録
シロウリガイ類化石を含む上総層群野島層の貝殻集積砂岩層のブロックを採取し,貝化石の種構成と配列を解析した.貝殻集積層は下位より粗粒砂岩から礫質粗粒砂岩への逆級化部,礫質粗粒砂岩から細粒砂岩への級化部,そして平行葉理の発達する細粒砂岩の3つのユニットからなり,シロウリガイ類化石の多くは破片化した状態で級化部から産出した.貝殻集積層に含まれる他の貝類は小型の二枚貝類や巻貝類および殻の破片からなり,潮間帯から深海まで多様な環境に生息する種からなる.貝殻集積層に含まれる貝殻の方位を測定した結果,逆級化部では殻は特定の配列傾向を示さず,その上位の級化部では二枚貝類の接合面と巻貝類の殻軸が南側に傾斜する傾向が認められた.以上から,この貝殻集積層は北に向かって流下した堆積物重力流が冷湧水場に流入し,シロウリガイ類とオウナガイ類の貝殻を取り込んで大陸斜面以深に堆積して形成されたものと考えられる.
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© 2014 日本地質学会
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