抄録
富山県北東部の白亜系陸成層は岩相対比のみで手取層群に対比されており,正確な堆積年代が不明だった.それらの陸成層のうち,水上谷層砂岩より約123 MaのジルコンU-Pb年代を得,また水上谷層とその上位の黒菱山層は約109 Maのジルコンを含むデイサイトに貫入されることから,水上谷層と黒菱山層の堆積年代はアプチアンであることがわかった.そして,これらの地層は北陸地方西部の手取層群の最上部の後野層や別山谷層に対比した.また,尻高山層と内山層(新称)は,同時異相で,先白亜系を不整合に覆い,親不知層に整合に覆われる.尻高山層と内山層の砂岩から約110 Maのジルコンが得られ,手取層群より若い地層であることが判明した.