長野盆地西縁断層帯は,羽越褶曲断層帯の南端付近に位置する西側隆起の逆断層である.本断層帯は,盆地西縁部に断層変位地形や先行谷を発達させ,豊野層や南郷層とその分布・構造に深く関与してきた.1847年に発生した弘化善光寺地震は,この断層帯が引き起こしたM7.4の大地震である.明瞭な地表地震断層が出現し,多数の斜面崩壊が発生した点で,同じく羽越褶曲断層帯で発生した2004年新潟県中越地震などと共通点が多い.本巡検では,変動地形の分布と大地震に伴う地表変位,また関連する地質および地質構造の発達史について,災害という側面を意識しながら,地形・地質学的観点から議論する.