地質学雑誌
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論説
北部北上帯の亜帯区分と渡島帯・南部秩父帯との対比:
安家西方地域のジュラ紀付加体の検討
高橋 聡永広 昌之鈴木 紀毅山北 聡
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2016 年 122 巻 1 号 p. 1-22

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抄録

北部北上帯は,岩泉構造線を境に葛巻-釜石亜帯と安家-田野畑亜帯とに区分されてきた.その根拠は,前者は古生界を含み砂岩が斜長石に富みカリ長石に乏しく,後者は古生界を含まず砂岩はカリ長石に富むことである.本研究では,両亜帯の境が位置する岩手県岩泉町安家西方域の調査を行った.研究地域の先白亜系付加体は,構造的下位から高屋敷ユニット,関ユニット,大鳥ユニットに分けられ,岩泉構造線は高屋敷と関ユニットの間を境する.古生代化石の産出は関ユニットと大鳥ユニットに限られ,従来の亜帯区分の根拠と一致した.一方,砂岩組成は,構造的上位から下位のユニットにかけてカリ長石の割合が漸移的に増加し,岩泉構造線で明瞭には分かれなかった.また,南北延長上の南部秩父帯および渡島帯と比較すると,岩相構成では北部北上帯と同様のユニットが認められるが,対応するユニット間で,最下部の年代構成に違いが認められる.

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© 2016 日本地質学会
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