2017 年 123 巻 3 号 p. 121-130
岩手県宮古市日出島に露出している下部白亜系(アプチアン~アルビアン)宮古層群の日出島層は,主にタービダイト砂岩と泥岩の互層と礫岩層や厚い砂岩層から成り,スランプ層や土石流堆積物を伴う.土石流堆積物からは,保存状態の悪いGlycymerisやEriphyla,Nipponitrigonia,厚歯二枚貝などの二枚貝化石が産出し,これら浅海生の二枚貝化石は典型的な異地性の産状を示す.
11属の有孔虫化石が日出島層中部の泥岩から初めて産出し,底生有孔虫化石群集はBathysiphonやRecurvoide,Haplophragmoidesによって占められている.底生有孔虫化石の群集構成と堆積相解析の結果から日出島層は陸棚斜面で堆積した可能性が高い.