2017 年 123 巻 6 号 p. 423-431
九州東部に分布する大野火山岩類は瀬戸内火山岩類の分布の西縁であるとされる.従来報告されているK-Ar年代は5Ma程度の幅を持って分散している.今回大野火山岩類の珪長質火山岩3試料からジルコンを分離し,レーザーアブレーションICP-MSでU-Pb年代を求めた.その結果,238U-206Pb年代の荷重平均年代として最下位の白岩山火砕流堆積物から14.71±0.20Ma(2σ),小倉木凝灰岩から15.14±0.43Ma,最上位の三宅山火砕流堆積物から14.58±0.21Maを得た.今回の結果より岩脈としてのみ産する高Mg安山岩を除く大野火山岩類は従来考えられていたより短期間(ca. 1m.y.)に活動したことが明らかになった.