地質学雑誌
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論説
レーザーアブレーションICP質量分析装置を用いた火山ガラスの分析による十和田カルデラ起源大不動テフラと八戸テフラの識別
古澤 明
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電子付録

2017 年 123 巻 9 号 p. 765-776

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抄録

東北地方北部に分布する十和田大不動テフラおよび十和田八戸テフラは,記載岩石学的特徴が類似している.火山ガラスの主成分化学組成も類似し,主に緑色普通角閃石の有無により識別されている.しかし,軽石の粒径が小さく,軽石のみを採取できない地点では,緑色普通角閃石が大不動テフラにも少量混在し,その含有のみで明確に両テフラを識別できない可能性がある.

このため,広い範囲の複数地点で両テフラを採取し,緑色普通角閃石の含有率,火山ガラスの主成分化学組成およびLA-ICP-MSによる火山ガラスの微量成分を分析した.その結果,両テフラは,緑色普通角閃石含有率,火山ガラスの主成分化学組成だけでは識別できないことが明かとなった.両テフラの微量元素含有量は,著しく類似しているものの,いずれの地点でもPbの含有量に明瞭な差異があり,この特徴から両テフラを識別できることが明らかとなった.

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© 2017 日本地質学会
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