地質学雑誌
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総説
南海トラフ地震発生帯掘削がもたらした沈み込み帯の新しい描像
木村 学木下 正高金川 久一金松 敏也芦 寿一郎斎藤 実篤廣瀬 丈洋山田 泰広荒木 英一郎江口 暢久Sean Toczko
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2018 年 124 巻 1 号 p. 47-65

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抄録

2007年開始の南海トラフ地震発生帯掘削計画は,プレート境界で起こる地震発生,断層メカニズムの理解を目的に実施,掘削の結果,これまで以下の主要な成果が得られた.

1)南海前弧域は,~6Ma以降の沈み込み,特に2Ma以降の付加体の急成長によって形成され,プレート境界の上盤を形成することとなった.

2)プレート境界と分岐断層に沿うすべりは,海底面まで高速ですべり抜けたことがある.

3)粘土鉱物に富む断層ガウジは静的にも動的にも,絶対的に弱い.

4)掘削によって応力測定に成功した.多くの地点で最大水平圧縮方向はプレートの収束方向とほぼ平行であり,次の南海地震に向けての応力蓄積の進行が示唆される.

5)掘削孔設置の観測計が,2016年4月1日に南海プレート境界で72年ぶりに発生した地震による圧力変動を観測した.海底観測網による微小津波観測と同期しており,上盤内の地震時体積収縮を世界で初めて観測した.

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© 2018 日本地質学会
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